希少性や話題性を打ち出す施策として有効なのが、数量限定販売です。この手法は、消費者の購買意欲を喚起するだけでなく、ブランドの独自性や価値を高める広報PRの好機でもあります。注目を集めるためには、販売前の段階から情報を的確に発信し、話題づくりを図ることが重要です。
本記事では、数量限定販売の際にプレスリリースを活用するメリットや注意点を解説し、効果的な情報発信のポイントをご紹介します。
数量限定販売とは?
数量限定販売とは、販売する商品の数量をあらかじめ制限して提供するマーケティング手法です。販売個数に上限を設けることで、商品に希少性や特別感を持たせ、消費者の購買意欲を高める効果が期待されます。
さらに、あえて供給量を絞ることで需要を喚起し、話題性やブランド価値の向上につなげる施策として、広報PRや販促の現場でも広く活用されています。また、数量限定販売は新商品のテストマーケティングにも有効で、販売後の反応を見ながら、今後の展開に活かすこともできます。
このように、数量限定販売は単なる販売戦略にとどまらず、企業のブランディングやコミュニケーション戦略の一環としても注目されています。
数量限定で販売する3つのメリット
数量限定販売による希少性や特別感は、新たな顧客層の開拓や話題づくりにもつながります。ここでは、限定販売がもたらす主な3つのメリットを紹介します。

メリット1.購買意欲を高められる
数量限定で販売するメリットのひとつは、商品に希少価値を持たせることで「今買わないと手に入らなくなる」という心理を刺激し、購買意欲を高められる点です。限られた数しか手に入らない状況が、消費者に特別感や緊急性を与え、購入を後押しします。
特に高価格帯やこだわりの強い商品においては、「選ばれた人だけが手に入れられる」といった印象を与えることで、ブランドの独自性や限定性を印象づけやすくなります。
メリット2.顧客のニーズを把握できる
数量限定販売は、商品の企画段階におけるテストマーケティングとしても活用できます。販売を通じて「誰に、どれだけ売れたのか」「どの層が関心を持ったのか」といった顧客データを取得でき、想定した層への訴求が成功したかを確認できます。これにより、次回の商品企画やマーケティング戦略に活かすことが可能です。
また、あらかじめ生産数を限定することで、過剰な在庫のリスクを抑えることもできます。結果的として、方向性や顧客ニーズを適確に把握でき、より精度の高いブランディングの実現にもつながります。
メリット3.既存商品にも注目が集まる
限定商品をきっかけに、新商品だけでなく既存の定番商品やサービスにも注目を集めることができます。生活者の間での自然な話題化、SNSや口コミを通じた拡散も期待できるでしょう。
また、限定品に企業の理念やストーリーを組み込むことで、単なる販売施策ではなく、企業の世界観や価値観を伝えるツールとして広報PR活動に深みを与え、ブランドへの共感を醸成することも可能です。期間や数量を限定した特別商品を展開することで、普段とは異なる層の興味を引き、新たな顧客層を獲得するきっかけにつながります。
数量限定で販売するときの3つの注意点
限定販売は大きな効果を生む一方で、取り扱いを誤ると信頼の損失や法的リスクを招く可能性もあります。実態と異なる訴求や曖昧な表現は、消費者の不信感を生む原因にも。ここでは、数量限定で販売する際に特に注意すべき3つのポイントを解説し、リスクを回避しながら信頼される施策を実行するための視点をご紹介します。
注意点1.事実に反しない
「数量限定」とうたいながら実際には十分な在庫があるケースは、「景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)」における「優良誤認」に該当するおそれがあります。消費者に誤認させるような表現は、法的リスクを伴うだけでなく、企業やブランドへの信頼を大きく損なうことにつながります。
そのため、販売個数や在庫数の管理を徹底し、表示内容と実態が一致しているかを必ず確認してください。景品表示法の詳細は次の項目で解説します。
注意点2.数量限定の理由を開示する
数量限定の理由を明示することで、消費者の納得感と信頼感を高めることができます。「職人が手作業でつくっている」「希少な原材料を使用している」など、販売数を限定する背景に合理性があることを伝えると、購入意欲を高める効果も得られます。
反対に、理由が不明確な場合は単なる販売テクニックとして受け取られ、ブランドイメージを損なうリスクもあります。限定販売する背景を丁寧に伝えることで、透明性のある広報PR活動につながり、顧客との信頼関係を築く基盤ができます。
注意点3.販売終了の日程をアナウンスする
数量限定販売では、販売終了の時期や条件を明示することが不可欠です。消費者にとっても販売終了の時期が不明確だと、混乱や不満につながり、企業への問い合わせやクレームを招く原因にもなります。
プレスリリースを配信する際には、「限定数に達した時点で終了する」「特定期間内で販売する」など販売終了の時期や条件を事前に伝えましょう。販売状況に応じて随時情報を更新し、公式サイトやSNSなどでもこまめに周知することで、消費者に安心感を与えることができます。
「数量限定」と表示するときに知っておきたい景品表示法の内容
数量限定商品の表示方法によっては、消費者に誤解を与えるおそれがあり、「景品表示法」の規制対象となる可能性があります。この法律は、企業による不当な表示や景品の提供を防止し、消費者が正確な情報に基づいて商品やサービスを選べるようにすることを目的としています。
たとえば、実際よりも商品を優れて見せる表示や、価格、条件を不当に見せる表現は「不当表示」とされ、行政処分や企業の信頼低下につながるおそれがあります。また、限定品の数量や販売条件について虚偽の表示を行うことも、同様に違反の対象となります。
違反が疑われた場合、企業には表示の根拠を示す資料の提出が求められ、それに応じない場合は違法と判断されることもあります。数量限定販売を行う際は、誤認を招く表現を避け、事実に基づいた透明性のある情報提供が不可欠です。
数量限定において重要な景品表示法の詳細については、以下の記事でも紹介しています。「景品類の制限および禁止」「不当な表示の禁止」「措置命令」の観点からもまとめていますので、ぜひあわせてご確認ください。
数量限定販売を実行するまでの3つのステップ
限定販売の効果を最大化するためには、単に販売数を絞るだけでは不十分です。目的の明確化から販売方法の設計など、戦略的なプロセスが求められます。ここでは、限定販売する際に欠かせない3つのステップを詳しく解説します。

STEP1.数量限定にする目的や目標の設定
数量限定販売を成功させるには、まず「なぜ数量を限定するのか」「何を達成したいのか」といった目的を明確化することが不可欠です。
たとえば、新規顧客の獲得やブランド価値の向上など、目的によって施策の内容が大きく異なります。SNSでの反響を通じて、属性のマッチ、アンマッチを確認し、新規顧客に加えて、「どのような層に支持されたのか」という解像度を高めることも重要です。あわせて販売数やSNSでの反響数など、定量的なKPIを設定しておくと、施策終了後の効果測定と改善につなげやすくなります。
販売目標だけでなく「いつ、どれだけ売れるか」といったタイミングを含めて設計しましょう。その際、第一弾の突破リリースでは「購入したお客さまの声」を、第二弾では「開発背景」など、同時に公開する情報もあらかじめ用意しておくことで、スムーズな発表、かつさらなる購入の後押しにもなります。
数量限定販売に限った事例ではありませんが、株式会社ファミリーマートでは、突破リリースを以下のように配信。「生しっとりパン」を事例として紹介します。
発売を知らせるプレスリリース:パンは“生”でうまくなる!累計販売数1億2千万個を突破した「生コッペパン」シリーズに新たな生地が仲間入り!驚く食感の「生しっとりパン」3種を2月27日(火)発売!
発売から3日で販売食数120万個突破したことを伝えたプレスリリース:\発売から3日で累計120万食を突破/話題の新商品「生しっとりパン」の開発背景を大公開 開発担当者が明かす、「生」を極めたファミリーマートの「生地開発」の裏側
15日で累計500万食を販売したことを伝えたプレスリリース:発売から15日間で累計500万食を突破!パン好きの9割が「しっとり」生地を実感。97%がまた食べたいとリピ―ト希望!
同社の突破リリースに関する取り組みは、インタビュー記事からもご覧いただけます。
STEP2.個数・販売方法・期間の設定
目的が定まったら、販売個数や販売チャネル、実施期間を具体的に設計します。個数設定では、希少性と売上目標のバランスを考慮することが重要です。販売個数が極端に少ないと販売機会の損失につながり、多すぎると希少性が薄れてしまうからです。
販売方法はオンライン限定や先着順、抽選販売など、想定する層や話題性に応じて選定し、数量だけでなく販売期間を設けることで、消費者の購入意欲を高めるきっかけになります。
STEP3.プレスリリースの配信
販売計画が整ったら、いよいよ広報PR活動による周知を実施します。特にプレスリリースの配信は、信頼性の高い情報源としてメディアや消費者に大きな影響を与えます。公式サイトやSNSとの連携、メールマガジンでの事前の情報提供など、多角的な発信も効果的です。
販売直前だけでなく、段階的に情報を発信することで期待感を高め、注目度を最大限に引き上げることも可能です。あらかじめ問い合わせ対応のFAQを用意しておき、STEP1で定めた目標達成後のアクションも事前に計画しておくことで、スムーズに対応することができます。
数量限定販売のプレスリリース配信3つのポイント
数量限定販売で成果を出すには、プレスリリースは戦略的に活用すべき重要な広報PRツールです。特に販売前後のタイミングや伝える内容を工夫することで、話題性を高めるだけでなく、新たなファン層との接点を生み出すことも可能になります。数量限定商品を最大限に注目させるために押さえておきたい、プレスリリース配信時の3つのポイントをご紹介します。
ポイント1.販売前から話題化させる
プレスリリースは商品の販売前に余裕を持って配信することで、メディアから取り上げられたり、生活者によって拡散されたりして事前に話題になる場合も。とはいえ、発売直前、発売当日に取り上げるメディアは多いため、ニュース性を見いだし複数回配信できるとよいでしょう。また、各店舗の販売個数や販売方法を伝えることで、購入できない不満をできる限り軽減させ、かつ購入を検討している人に対して計画的な行動を促進することが可能です。
コラボ企業のマスコットキャラクターのシルエットやコラボ開発者の後ろ姿など、一部の媒体やSNSで情報を先行公開することで、徐々に注目を集めていくのも戦略のひとつ。
株式会社オールハーツ・カンパニーは、『過去に「パステル」と他社でコラボスイーツを展開した際は、匂わせ投稿をするなど、販売前に少しずつ盛り上げられるよう意識していた』そうです。
段階的に情報発信をした事例について、以下のインタビュー記事で語っていただいています。ぜひ、参考にしてみてください。
ポイント2.既存商品との違いを明確にする
数量限定商品の魅力を効果的に伝えるため、既存商品と何が違うのかを明確に示しましょう。特別な素材の使用や限定カラー、パッケージデザイン、共同企画など、限定品ならではのポイントを強調すると、より消費者の注目を集めることができます。
数量限定商品を販売する背景も添えると、限定性の納得感が増し、購買意欲を喚起できます。新商品との比較も兼ねて既存商品を紹介するといった、既存商品の認知向上にもつながる導線づくりを意識しましょう。
ポイント3.新たなファンを生み出す発表にする
数量限定品は、新規顧客の獲得やファン層の拡大を狙うチャンス。既存ユーザーだけでなく、まだブランドに接点のない層にも響くような表現やストーリー性を盛り込むことが大切です。商品開発の背景や企画に対する想い、使い方の提案など、ブランドの価値観に共感を生む情報を伝えることで、「試しに買ってみたい」と感じてもらいやすくなります。
商品の発表にとどまらず、新しい顧客との出会いを生み出す入口として、プレスリリースが活用できます。
数量限定販売を成功させる5つのポイント
数量限定販売を確実に成果につなげるためには、販売戦略そのものに一貫性と計画性が求められます。タイミングや商品の魅せ方、情報発信の仕方に至るまで、細やかな工夫が必要です。限定販売を成功に導くために実践したい5つの具体的なポイントを紹介します。

ポイント1.シーズナルや社会背景に合わせて実施する
限定商品は、季節やトレンドに合わせて展開することでより訴求力を持たせられます。季節行事や記念日、社会的な関心事と連動させた企画は、メディアや消費者の注目を集めやすく、自然な話題性を生み出しやすいでしょう。
数量限定という戦略を「今、この時期だからこそ」というタイミングの必然性を訴求することで、消費者の共感と購入意欲の喚起につながります。
ポイント2.頻繁に限定販売をしない
希少性が命の限定販売は、あまり頻繁に実施すると「本当に限定なのか」といった疑念を持たれ、かえってブランド価値を損ないかねません。特別なタイミングでのみ実施するからこそ限定性の信頼感が高まり、次回への期待値を育めるのです。
そのため、限定販売においては過去の反響や顧客の声を分析しながら、適切な頻度を見極め、重みを持たせる節度を持った施策展開が求められます。
ポイント3.メディア掲載を見込み、イベントや発表会を開催する
数量限定商品は販売期間が短いため、掲載予定のタイミングによっては取材時には販売中だった商品が、掲載時にはすでに完売している可能性もあります。せっかくのメディア掲載も、販売終了後では効果が限定されてしまうため、スケジュールの調整や広報PR戦略が重要となります。
事前にメディア向けの発表会やキャラバンを行えば、商品の魅力を直接伝えられ、タイムリーな紹介を狙えます。その際メディアに対して掲載希望日をあらかじめ伝えることで、掲載のタイミングを調整しやすくなります。
ポイント4.「数量限定」以外の特徴を盛り込む
限定商品をより魅力的にするには、限定性に加えて、商品のストーリーや素材、デザインなどに独自の価値を加えることが重要です。地域素材の使用やコラボレーション、特別仕様パッケージなど、限定商品ならではの工夫が施されていると、消費者に「今買わなければ」と思わせる力が強まります。
数量限定とその他の希少要素を掛け合わせることで、さらに話題性を高められるでしょう。
ポイント5.複数メディアで段階的な情報発信
数量限定販売は限られた販売期間の中で、いかに効率よく情報を届けるかがポイント。プレスリリースやSNS、オウンドメディア、店頭POP、インフルエンサーなど、多様なチャネルを活用し、複数回にわたって繰り返し情報を届けることが効果的です。
消費者の注意を引くには、タイミングと回数が重要であるため、販売前にはSNSでカウントダウンを実施したり、一部の情報を公開したり、販売後には再入荷情報や販売個数の経過を投稿するなど、記憶に残る情報発信もおすすめです。
まとめ:数量限定販売の切り口を使って戦略的に話題化させよう
数量限定販売は、希少性や話題性を演出し、消費者の購買意欲を高める有効なマーケティング手法です。ブランディングや新規顧客獲得にもつながり、広報PRの観点からも注目されています。
一方で、実態に合わない数量表示や曖昧な販売条件は景品表示法に抵触する恐れがあるため、正確な情報開示が求められます。成功させるには、販売目的の明確化、戦略的な販売設計、そしてプレスリリースによる事前の話題化がポイント。計画的かつ段階的な情報発信で話題性を高め、ブランド価値と販売成果の両立を目指しましょう。
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